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過去を振り返れば羞恥心に苛まれ、未来を想像すれば不安に襲われる。ただ道を踏み外さないように、足元だけを見つめて一歩一歩進むのが精一杯。だからせめて足跡を残そう。


by koharu65

勝利したのは誰?-(2)-

<以下引用>
…アジアに限らず欧米も含め、今回の経済無差別報復がどれほどの対中不信感を引き起こしたことか、中国の人々は気づいているでしょうか。…
2010年10月6日付、朝日新聞16面より抜粋(主筆・船橋洋一)
<引用おわり>

 尖閣諸島問題で、外交的に押し勝ったのは中国であり、日本では日本政府の弱腰を批判する国内世論がはなはだしい。
 しかし、今回の事件の結果、日本国内において中国に対する不信感が大幅に上昇しただけでなく、国際的にも中国のイメージや信頼が大きく損なわれたことを考えると、私には、損をしたのは中国の方だと思われてならない。
 領土問題においては絶対に引かないという姿勢のアピールは必要だとしても、経済や民間の分野まで巻き込んだあからさまな威圧は、とても“不文明(野蛮)”なやり方だったと思う。中国は、自分たちが如何に“不文明(野蛮)”な国家だということを、世界に向かってアピールしてしまった。

<以下引用>

中国とのつきあいは、実利を旨とする。それは今後とも、追求していく。しかし、戦後、中でも国交正常化後、日本が中国に対して抱いてきた夢や理想やフロンティアの追求はひとまず棚卸しする。甘さを捨てて、期待値を下げ、保険をかけ、場合によっては損切りをする。中国とは礼を尽くし、節度をもって接する。水のごとき交わりをもってよしとする。しかし、戦略的互恵関係といった幻想は持たない。…

日米間のもめ事は、最後は同盟の枠内で解決できる事柄です。しかし、日中関係はそうはいかない。一つ、手元が狂えば転がり落ちる恐ろしさを秘めています。今回、「戦略的互恵関係」は全く機能しませんでした。…
同じく朝日新聞16面より抜粋(主筆・船橋洋一)
<引用おわり>

 日本はここ数年、中国と「戦略的互恵関係」を構築することによって、アメリカとの同盟関係をより緩やかに、日本がより独自の立場を取れるような方向へと導く策を練っていたのではないか。しかし、船橋氏に言わせると、それは“幻想”だったということになる。
 結局これで、日本はアメリカとの安保関係、同盟関係を強固にする方針を固めたようだ。もしかしたら逆かもしれない。日米同盟を強固にするために、或いは偶発的な事件が利用されたという可能性もなきにしもあらずと、個人的には想像するのだけれども。
by koharu65 | 2010-10-06 22:25 | 雑感