蛍
2007年 05月 19日
その蛍は二日前に亡くなった子供なんじゃないだろうかと私は思った。この世を離れる前に名残を惜しんでいるのかもしれない。或いは小さな光は遠慮がちにその存在を私に伝えようとしているのかもしれない。ここにいますよ、とでも言いたげに、ふわふわと漂っている。
私は小さな光を胸に抱きながら眠りについた。
翌朝、蛍はもう姿を消していた。
過去を振り返れば羞恥心に苛まれ、未来を想像すれば不安に襲われる。ただ道を踏み外さないように、足元だけを見つめて一歩一歩進むのが精一杯。だからせめて足跡を残そう。
2007年 05月 19日
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