過去を振り返れば羞恥心に苛まれ、未来を想像すれば不安に襲われる。ただ道を踏み外さないように、足元だけを見つめて一歩一歩進むのが精一杯。だからせめて足跡を残そう。


by koharu65

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 これは北京の“南鑼鼓巷”という通り沿いのお店で買ったソーイングボックス。開けた箱の中央が針山になっています。とてもよくできています。このお店にはお土産にぴったりの布製のバックや小物入れがたくさんありました。色やデザインもいいし、作りもしっかりしています。店の名前は“成家家居”です。いくらだったか…、レシートもメモも見当たらない。安くはありませんでした。
 “南鑼鼓巷”は喫茶店やヨーグルト屋、アイスクリーム、小物、Tシャツなどちょっと変わったオシャレなお店が軒を並べている通りで、観光客も多く訪れるので相場が高いけれど、お土産を選んだりウィンドーショッピングするにはすごく楽しいお薦めの場所です。
 通りの端の方にあった“MILK UNION(爱牛奶吧)”という名のお店のコーヒーがおいしかった。入ってすぐのところでアイスクリームを売っていて、アイスクリーム屋さんみたいですが、奥のテーブルでコーヒーやカプチーノが飲めます。夫が、北京で一番おいしいコーヒーかも、と言っていました。ブレンドコーヒーが20元(280円)、カプチーノが23元(322円)でした。

 この辺りは、胡同と呼ばれる下町の路地なのですが、その狭い路地の片側に路上駐車の車がずらりと並んでいました。
「この路上の車は、誰の車?」
「ここの住民の車だよ。路上が駐車場になってる。」
 この辺りは昔ながらの古い町並みがそのまま残っています。観光客が歩く通り沿いの門や店構えは、昔のままの風情を残しつつ綺麗に修復されて美しく整えられています。でも、塀の奥は、四合院と呼ばれる中庭のある昔のお屋敷に多くの世帯が雑居していて、日本で言う「長屋」みたいな雰囲気です。自家用車を持っているような感じの家並みじゃないのです。
「えっとさ、皆、車を買えるわけ?」
「うん、車を買えるお金が貯まると、買っちゃうんだよね。それで、後悔するんだ。買ってからお金がかかるだろ?買わなきゃよかったってみんな思うんだけど、売ろうにも今更もったいないし。一度乗ったら中古車になっちゃうから。」
「ステイタスシンボルとして欲しくなるのかな?」
「うん。先のことをよく考えないんだと思う。買えるだけのお金が今あるから買うっていう。」
 そう言えば、北京は車が増えすぎて、あちこちで慢性的に渋滞が発生し、市民は毎日の通勤や移動にひどくイラつくことが多いと聞きました。車のナンバーをどんどん発行するからいけないんだ、これ以上車を増やすべきじゃない、という意見もあります。

 車のこともそうだけれど、市民が快適な都市生活を享受できるようにするためにはまず何が必要なのか、ということを根本から考えなきゃならないのではないかと思いました。生活を快適にしてくれるアイテムとして車よりもまず大事なのは、上下水道やゴミ処理システムなどを含む住宅設備、住宅環境だと思うのですが、そういうのは個人で解決できる問題じゃないから、難しいのかな?
 一昔前の日本みたいに公団住宅とか建てて市民に安く貸したらどうでしょう?公団住宅が当時“文化”住宅と呼ばれたように、文化的で快適な生活とはどういうものかというモデルを行政が提示することによって、都市生活の規律を確立していく必要があるんじゃないかと思うのですが。
 でないと、なんだか、何のためのお金なのか、という気がします。お金ができたから物を買う、のではなく、豊かな生活とはどういう生活なのかというイメージ、規範を具体的に描いていかないと、到着駅も定かでないまま、ただ欲望だけを動力に走り続けていくということにならないでしょうか。(日本の場合は到着駅にアメリカというお手本が見えていたから。)

 お土産の話じゃなくなってしまいました…。あしからず。
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by koharu65 | 2010-06-28 21:45 | 中国旅行記
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 目にした瞬間「かわいい!」と心の中で叫ぶほど、ひとめぼれした人形です。上海の地下鉄駅出口で売られていました。地下から地上に出る階段の途中に置かれた簡易机の上に山ほど並べられた人形、いろんな洋服にいろんな髪型、選ぶのが楽しかった。
 売り手のおばさんは1体10元だと言います。3体買うから負けてよ、と言ってみましたが、10元が最低価格だと、取り付く島もありません。もうちょっと押してみようか、どうしようと迷っていると横で同じように熱心に選んでいた中国人の女の子が、負からないの?と聞いてもやっぱり負けてもらえなかったので、私も諦めて言い値で買いました。
 それが中国に着いて一日目の夜でした。そして7日後、最後の夜に豫園商城をぶらついていたら、いろんな可愛い小物を売ってるファンシーショップで同じ人形を発見。値段は同じ10元でした。

 日本に帰ってお披露目していると、甥っ子が、
「チャングムのアニメの子に似てる。」
と言います。私はアニメのチャングムを見たことがなかったので、
「へえ~、そうなんだぁ。」
と相槌を打ち終わるか終わらないかのうちに、突然、ああっ、とひらめきました。そして急いで人形の箱を確かめました。すると、箱の側面に模様のような大きなハングル文字が書かれておりましたとさ。

 人形は3人の姪っ子たちへのお土産。自分用にも、ひとつ買えばよかった。
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by koharu65 | 2010-06-27 22:07 | 中国旅行記
 時々、中国の方がある面において日本よりずっと便利だと思うことがある。
 例えば、携帯電話。中国では携帯電話本体(端末)の販売と通信会社との契約が別々になっている。利用者は端末機器を店頭で自由に選び購入し、通信会社は通信会社で好きな会社と契約して電話番号を貰う。通信会社との契約による情報はすべてSIMカードに納められていて自由に交換できるから、今使ってる機種を変えたい時は端末機器だけを購入して自分でカードを入れ替えればいい。とてもわかりやすい。ソフトはソフト、ハードはハードで別々に売るのが本来当たり前だ。
 最近日本も総務省が日本の携帯電話市場における特殊性を改善しようとしているらしいが、通信会社の抵抗にあってなかなか実現されそうにない。通信会社は消費者の利益がどうのこうのと言っているけれど、どう見ても顧客の囲い込みという企業の都合によって今のシステムが構築されているとしか思えない。
(参考:“総務省による「SIMロック解除に関するガイドライン(案)」に対する意見募集”
*日本の携帯電話には自社の通信会社でしか使えないようにSIMロックという制御がかかっている。そのロックを解除できるようにしましょうという提案。)
 その他にも料金プランの煩雑さ、無駄な機能満載の端末機、選択の自由のなさ等、消費者の本当のニーズを無視した日本の携帯メーカーや通信会社のやり口には、個人的にかねてから非常に腹立たしく思っている。
 携帯電話の販売システムに関しては、一見自由な市場であるように思われる日本がいかに不自由で閉鎖的で特殊なシステムを採用していて、中国の方がずっと自由で合理的なシステムを採用しているとは、いったいどういうわけだろうと不思議に思う。

 それと同じようにすごく便利だと思ったのは、中国国内線の飛行機の乗り方。
 上海北京間の飛行機の席を中国国内にいる夫に予約してもらった。
「**時の飛行機を予約しといたからね。」
「わかった。それで、予約券とか引き換え券は?」
「そんなのないない。」
「え?予約番号とかないの?予約確認のメールを印刷するとか…。」
「カウンターでパスポート見せて、何時の便を予約しました、って言えばいいから。」
「え~?本当に、本当に?それで大丈夫?」
 当日まで半信半疑だったけれど、夫の言ったことは本当だった。便名を告げてパスポートを見せるだけでOK。
 すごく便利じゃないか。どうして日本ではそうできないのだろう?
 考えてみると、チェックインのときに名前を告げるだけでは、予約した本人かどうかの識別ができない。だから予約した際の確認番号や予約券が必要になる。
 しかし中国の場合は身分証があるので、予約時に身分証の番号(外国人の場合はパスポート番号)を登録しておけば、当日はその番号によって予約した本人と実際に搭乗する人物を照合することができる。
 日本でも戸籍(住民票)に基づいて顔写真入り身分証明書を作ったらすごく便利なのに、と思った。飛行機の搭乗に限らず、普段でも、何かの手続きで本人確認が必要なとき、運転免許証を持っていない人は不便な思いをすることが多い。
 しかし、さらによくよく考えてみると、確か住民基本台帳カードっていうのがあったんじゃなかったっけ?と思いついた。導入時に反対運動があって、結局導入はされたものの中途半端なシステムになってしまっているような…。しかしあれは住基カードが反対されたというより、住基ネットが反対されたんじゃないだろうか?納税や年金や国民健康保険も含めたネットワークを作って個人情報を一元的に管理するという点が多くの市民にアレルギー反応を起こさせたのだとしたら、身分証自体の発行は問題ないんじゃないか?
 行政の管理に都合がいい個人情報ネットワークではなく、それを携帯していれば日本国に定住している市民だということが証明できる身分証明の機能だけを持たせたカードだったら便利で反対も多くはないんじゃないかと思うのだけれども、どうだろう?

 身分証の話で思い出した。
 上海近郊の田舎町から上海へ戻るために長距離バスに乗ろうとしたら、まず切符売り場で身分証を持っているかどうか聞かれた。パスポートなら持っているけど、と言うと、それならOKというようにうなづいて切符を売ってくれた。どうしてそんなこと聞くんだろう?と不思議に思っていたら、出発の10分くらい前になって、係員が、上海行きの乗客は身分証の登録をするようにと呼びかけた。乗客が提示する身分証の名前と番号、民族を係員が帳面に書き写していく。
「バスに乗るのに乗客名簿を作るの?」
と聞くと、
「上海行きだけね。万博があるから。数日前から始まったんだ。まったく面倒で仕方ないよ。」
とのこと。
 そう言えば、上海の地下鉄の改札口でも、荷物の赤外線チェックをしていた。あれも万博が近いからだったんだ。
 でも、身分証の提示くらいで何か安全対策になるのだろうか?それとも、単に上海に流入する人口を制限したいから?(身分証を持ってない人は上海に入れないから。)
 こういう身分証の使い方はむろん今の日本ではできないけれど。
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by koharu65 | 2010-06-24 20:39 | 中国旅行記

大雨大風

 外は大雨と大風。
 子どもの頃は夜、布団の中で、ざーざーという雨の音や、ぴゅーぴゅーいう風の音を聞くと、なんだかわくわくした。いつもと様子が違って、嵐の夜に船出して、これから大冒険に出かけるような気持ちになった。家の窓ががたがたいう音まで私を応援しているようだった。雨よ、もっと降れ、風よ、もっと吹けと思った。
 今は、怖い。目をつぶると、寝ている窓のすぐ横の、古いベランダが吹き飛んでしまわないかと気が気でない。私の家がつぶれてしまわないかと、不安になる。
 ああ、どうか無事にいつもと同じ朝を迎えられますように。

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庭の紫陽花

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by koharu65 | 2010-06-18 22:26 | 雑感
 旅行中一番おいしかったのが北京の “湯城小厨” という広東料理のお店です。あっさりしていて脂っこくない。日本人好みの味だと思います。中でも鳩の丸焼きが絶品でした。外側がパリパリっとしていて、中の肉は引き締まって味がある。鶏よりずっとおいしい。
 すごく繁盛していました。ワイワイガヤガヤ、皆食べながら遠慮なく大きな声でおしゃべりして、賑やかで楽しい。
 中国のレストランに入ると、食べるというのは一種の快楽なのだということを実感します。日本はちょっと違う。食べることの快楽を露にすることに対して後ろめたさが働いたり抑制をかけるようなマナーが伝統的にあるような気がする。禅の影響かしらん?
 同席に一人、特に食べるのが大好きな人がいて、私が普通の野菜炒めみたいなのを選んだら、「だめだめ、普通の料理じゃつまらない。普段食べない変わったものを頼まなくっちゃ」と言って、ウェイトレスと、これは何だ、どんな味だ、とか、お薦めはどれだ、とか、長い間やり取りしていました。ウェイトレスも店がすごく混んでいて忙しそうなのにも関わらず、日本みたいに「お決まりになりましたら、お呼び下さい」じゃなくて、面倒がらずにちゃんと一緒に考えてくれました。こういうのってすごくいい。

“汤城小厨”
北京市東城区金宝街21号
Tel:010-65282121
↓地図と口コミ情報(中国語)
http://www.dianping.com/shop/2313145

 自分で払ってないので正確な金額はわからないのですが、おそらく4人で300元~400元(4200円~5600円)くらい。ネットの口コミ情報には、一人平均77元(1078円)とありました。この味(質)でこの値段は、すごくリーズナブルです。


 おいしくて、そして懐かしかったのは、新疆料理のイスラム食堂でした。
昔中国に留学していた時、学校から歩いてすぐのところに新疆村がありました。平屋のバラックの前に半露天のような形でテーブルを出した簡易食堂が何軒か連なり、安くておいしいので、留学生たちの行き着けの店となっていました。
 私が通った新疆村の食堂は今は取り壊され、なくなってしまったので、新疆料理を食べたいという私の希望のために、新疆駐北京事務局内にあるイスラム食堂に連れて行ってもらいました。
 新疆駐北京事務局という看板が掲げられた門をくぐると、中は大学のように広い敷地で、アパートや売店があります。北京の新疆人がここに集められて住んでます。完成間近の大きくて立派なホテルもありました。
「立派なホテルだね。」
「北京に出てきた新疆人が泊まれるホテルがないから急いで造ってるんだよ。宿泊拒否されるから。」
「それって、ホテル側がトラブルが嫌だから泊めたくないってこと?つまり個々のホテルの判断?それとも…」
「いや、通達が出てる。」
「でも、今建ってるこのホテルってすごい立派な感じだよね。宿泊費も安くないと思うんだけど、お金がない人はここにも泊まれなくない?」
「そうだね。」

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 独特の香辛料を使って煮たり焼いたりしたワイルドな味のする羊肉料理がメインです。左がシシカバブ、真ん中のは、下にナンが敷いてあって、その上から煮た羊肉をスープと一緒に掛けた料理です。スープが滲みて柔らかくなったナンが美味でした。

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 これはうどんのような麺の上に炒めたトマトと野菜と羊肉を掛けたものです。留学時代によく食べた定番料理。

 二人で112元(1568円)でしたが、4人分くらいの量がありました。一皿の量が多くてとても食べ切れなかった。
 ネットの口コミ情報には、一人平均55元(770円)とありました。

“新疆伊斯兰饭庄”
海淀区三里河路7号新疆驻京办事处院内(西苑饭店南)
Tel:010-88365363 86832666
↓地図と口コミ情報(中国語)
http://www.dianping.com/shop/512216
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by koharu65 | 2010-06-13 14:06 | 中国旅行記
 上海でのこと。烏鎮行きの高速列車に乗るため、朝早くホテルの部屋を出た。フロントでチェックアウトの手続きをしていると、車のキーをチャラチャラさせながらロビーをうろついていた男が、私の手続きが終わるのを待ちかねるように声を掛けてきた。
「タクシーいらない?」
私は始めからタクシーを利用するつもりだったので、南駅まで、とお願いした。

 この日は中国に着いて2日目。タクシーに乗るのも、まだ2度目だ。上海のガイドブックにはタクシーについて「最近は故意に遠回りされたりすることも滅多にない」と書いてあったので、特に警戒もしていなかった。車中ではドライバーに問われるまま、ぺらぺらといろんな事を話した。日本人であることとか、上海は何十年ぶりだとか、一週間後に帰国することだとか。
 実を言うと、ホテルを出てすぐにメーターの数字が隠されていることに気づいてはいた。機械から吐き出されたレシートの紙が、前の客の何人か分、切り取られないまま長く垂れ下がりメーターの上に覆いかぶさっていて、数字が見えない。その事に多少引っかかるものを感じたものの、まさかわざとではないだろうと、特に指摘することもせず済ませていた。
 駅に到着して運賃を払う段になって、ドライバーはやっと暖簾を除けるようにレシートの紙を除け、金額を告げた。おや?と思った。前日、空港からホテルまで走った時間と支払った金額から比べて、ずいぶん割高のような気がしたからだ。でもそうは思っても中国でタクシーに乗るのはまだ2度目、自分の感覚、自分の距離感に絶対的な自信はない。躊躇はしたものの、何も聞かず言われるままの金額を支払った。(端数を負けてくれた!)ただ、一抹の不安が払拭しきれなかったので、そのまま私を送り出そうとするドライバーに対して、せめてもの保険と、レシートを要求して受け取っておいた。

 北京で、夫に相談してみた。たとえ正規料金でなかったとしても、そのこと自体はもう起きてしまったことで拘るつもりはなかった。問題は、5日後に帰国する際、同じホテルから空港へ向かうのに彼の車をまた使うことを約束してしまったことだ。迎えに来られてから面と向かって断わるのは、私にはできそうにない。どうしよう、と夫に相談すると、レシートに印刷されていた会社の番号に電話してくれた。事情を説明し一旦切った後、タクシー会社の社長から折り返し電話がかかってきた。やっぱり正規料金ではなかったらしい。夫は社長に対して長いこと、こんこんと穏やかに説教していた。タクシー代は郵送で返してくれることになった(本当に返ってきたかどうかは今のところ未確認)。これで迎えには来ないと思うよ、と夫が言うので、私はほっとした。レシートを貰っておいて本当によかった。(レシートに印字された距離が実際走った距離よりも長く、もしかしたら私が乗った時点よりずっと前からメーターが回っていたのかもしれない。)
 
 この後、一週間の間、何度もタクシーに乗ったけれど、車もドライバーもさまざまであった。塵ひとつ落ちてないぴかぴかの車内で物腰も話し方も紳士的なドライバー、政治の話を滔滔と語る評論家風、行き先を告げた途端近すぎるとぶつぶつ言う人、教養のありそうな人、なさそうな人。大抵のドライバーは世間話が好きだけれど、中にはぶすっとして必要以外のことは全然しゃべらない人もいた。烏鎮という田舎町で乗ったタクシーはとても小さな車で手足を縮めるようにして助手席に座った。薄い鉄板の床が、底が抜けそうで心もとない。埃だらけで、ぼろぼろの車。がくんがくんとつっかえながら自転車と競争できそうな速度でのろのろと走った。

 帰国の前日、上海のホテルにチェックインしたとき、前に同じホテルに預けた荷物を受け取りに行った際顔見知りになった妙に愛想のいいドアボーイがいた。彼はタクシーから降りた私を認めるやいなや、さっと駆け寄ってきて、率先して荷物を持ち部屋まで運んでくれた。前回チェックインした時に玄関にいた別のドアボーイはドアを開け閉めするだけが自分の仕事だと心得ていたようで、私が荷物を持ってエレベーターの前に立っても知らん顔をしていたのに、今度のこのボーイは大違いである。にこにこと満面の笑みを浮かべて付き添ってくれる。
 部屋に入ると、彼は丁寧に荷物を置き、あちこちの電気をぱちぱちとつけてまわった。そして一息置くとおもむろに、明日の空港までのタクシーは手配してあるのか、と聞いてきた。(前に顔見知りになったとき、いつ帰国するのか、という話をしてあった。)私はようやく合点がいった。
「フロントを通さなくてもいいの?」
と、聞くと、
「問題ない、問題ない。」
とのこと。まあ、問題あり、とは絶対に言わないだろうけれど。この時私はまだ明日のタクシーを予約していなかったので、ここでお願いすれば、確かに手間が省ける。しばし考え、頼むことにした。彼はサイドテーブルのメモにドライバーの名前と車のナンバーを書きとめ、私に差し出し、「じゃあ、明日**時に***が下で待ってるから。赤い車だよ。」と念を押す。私がチップを渡すと、彼はにこりともせず、それを素早くズボンのポケットに入れ帰って行った。
 次の日の朝、私はボーイに紹介されたタクシーに乗って、無事空港に到着した。後日、この時貰ったレシートをよく見てみると、そこに記載されていた会社名は、一週間前に割高な運賃を取られたタクシーと同じ会社名であった。

 さて、この話の教訓はというと、
“何かが怪しいというサインは必ずどこかにあるものだ。しかし、せっかくそれらを察知しても、その場で機敏に対処できる行動力がなくては何もならない。”
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by koharu65 | 2010-06-10 21:21 | 中国旅行記
 旅行から1ヶ月半経ち、だんだん記憶が薄れていきます。早く記録しないと…。

 北京では、昔留学していた首都師範大学(当時の名称は北京師範学院)を訪れてみました。
 今では留学生担当の事務員も教師も宿舎の門番も皆、知ってる人は誰もいません。ただ外から建物を眺めるだけの訪問でしたが、外観は当時のまま残っており、たいへん懐かしい思いで校内を散策しました。
 首都師範大学の校舎は当時からレトロなたたずまいだと言われ、文化大革命を扱った中国映画のロケ地にもなるほどでしたが、そのレンガ造りの校舎がまだそのまま残っています。春になると赤いレンガを背景に、校内中に柳絮と呼ばれるポプラの白い綿が雪のようにふわふわと舞いとても幻想的な光景だったことを思い出しました。
 当時、留学生は中国人学生と同じその赤レンガの建物に住んでいました。宿舎の棟は幾つもあって、留学生は専用の棟に隔離されてはいましたが、設備等の生活条件は同じでした。一階の出入り口脇の小部屋に管理人が昼夜詰めていて、人の出入りをきっちりとチェックするので、自由な交流が妨げられていたという見方もできますが、安全面という点からすれば、管理がきちっとしていて守られているという安心感が強くありました。管理人は退職者の(おそらく警察関係の)気のいい親父で、厳しい反面、融通も効いて、若く世間知らずの各国留学生たちのわがままによく上手く対処していたものだと、今振り返ると、そう思います。
 現在の首都師範大学の留学生は大学の校内に住んでいません。というか、留学生はすべて、首都師範大学から歩いて10分ほどの所にある首都師範大学国際文化学院で学んでいます。そちらにも寄ってみましたが、ガラス張りの近代的で立派なビルに圧倒されました。学内には一般の人も宿泊できる設備の整ったホテルがあり、留学生はそのホテルに滞在します。フロントには門番ならぬ、制服を着た綺麗なお姉さんが二人いて、にこやかに対応してくれました。留学生の生活は昔よりずっと便利で住み心地良くなったでしょうが、少々味気ない感じもします。
 ちなみに、学内のホテルの一般旅行者向け料金はスタンダードツイン300元(4200円)、スイート450元(6300円)でした。留学生の宿泊費は別立てです。

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 国際文化学院の建物よりこのレンガ造りの建物の方がずっと素敵だと思うのだけれど、やっぱりここでも“昔の情緒”と“近代的であること”の相克を思いました。急激に変化する今の中国の価値観が将来どこに落ち着くのか、振り返ると日本も通ってきた道であるのかもしれませんが、中国の場合は多くの物事が極端な幅に振れがちで、“力づく”ということに躊躇しないし、しかも一旦走り始めると巨大な体躯にブレーキを掛けるのが難しいし、などと考えると、未来を図りかねます。
 

 さて、北京首都師範大学からの帰途、夫がふと通り沿いのマッサージ店に目を留め、入ってみることにしました。二人ともくたくたに疲れていたので。

 “仙人掌康休城”
 住所:北京市西三環北路97号(花園橋西北角)
 予約電話:010-68422519

 私たちは中医推拿(中医マッサージ)というコースを頼みました。普段だと60分80元(1120円)ですが、ちょうどキャンペーン中で割引価格の68元(952円)でした。
 あとで、夫に
「どうしてあのお店に入ろうと思ったの?入ったことのないマッサージ店て不安じゃない?」
と聞いたところ、
「表の看板に盲人って書いてあったから。盲人がやってるなら本格的だと思って。」
とのことでした。
 実際は、私の担当の女性は盲人ではありませんでしたが。夫を担当した盲人の男性は、大学で学んだとのこと。女性の方は大学ではないけれど、専門学校のようなところで勉強したそうです。
 最近中国旅行をした知り合いが、ホテルでマッサージを頼んだけれど、ただ体を撫でるような感じで全然効かなかったと言っていました。マッサージと言っても体の表面をマッサージする美容的なものと、医学的な理論に基づいて筋肉などを芯からほぐす本格的なマッサージとがあるようです。本格的なマッサージを受けたい時は、「中医推拿」を探すといいかもしれません。中医とは、漢方などを含む中国医学のことです。
 このお店では他にも、「足療」とか「踩背(背中を踏む)」とか「足浴」など、いろいろなコースがありました。

 体中がほぐれてとても軽くなりました。気持ちよかった。疲れもすっかり取れました。
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by koharu65 | 2010-06-06 14:04 | 中国旅行記
 北京では麗舎服務公寓(ラグジュアリサービスレジデンスホテル)というホテルに泊まりました。

 麗舎服務公寓
 住所: 北京市朝陽区建華南路17号
 TEL:+86-10-65662200
 FAX:+86-10-65662211

 アパートメント形式で、キッチンや冷蔵庫、電子レンジ、食器もついています。メゾネットになっていて、1階は真ん中に吹き抜けの居間と、キッチンとトイレがあります。内階段を上がるとベッドルーム、バスルーム、書斎スペースと、とても広々。長期滞在や家族で泊まるのにぴったりです。すごく居心地が良い。ゆったり、のんびり。外から部屋に戻ると、まるで自宅に帰ったように落ち着きます。
 ただし、大きな欠点がひとつ。バスルームにバスタブがありません。これだけ立派な部屋なのに、バスタブがない。普通、バスタブがなくシャワーだけの部屋というのは、狭くてバスタブを設置するスペースがないからだと思うのですが、このホテルの浴室は充分すぎるほどの広さがあるというのに、バスタブがない。シャワーだけ。
 聞くところによると、ドイツ人の設計によるので、バスタブのことが念頭になかったそうです。どうやら浴槽に浸かって疲れを取るというのは日本人ならではの習慣で、体を洗うという点からすれば、本来はシャワーだけで充分ということなのでしょうね。
 ここを予約してもらったとき、日本人が泊まると言うと、「バスタブを運びいれることもできますが…」と言われたそうです。きっとほとんどの日本人がバスタブがないことに不満を示すのでしょう。
 玄関のすぐ向かい、歩いて1分のところにセブンイレブンがあります。ここで豆乳を買って、キッチンの電子レンジで温めて飲みました。おいしかった。
 料金は知り合いを通したので格安でした。帰ってきてから日本の予約サイトで確かめたところ、平均して8000円~1万円くらいのようです。

c0173113_22254839.jpg居間です。右奥の左側のドアを開けるとキッチンがあります。


c0173113_22262941.jpg部屋の中に階段。


c0173113_2227886.jpg二階のベッド。手すりから覗くと下は居間です。奥にちょっとした書斎スペースが。


c0173113_2227418.jpgバスルーム。奥がシャワースペース。(ただし、これは3ベッドタイプの部屋のバスルームで、1ベッドタイプの部屋のシャワースペースはこれより少し狭い。)


 上海の新城飯店もそうでしたが、可もなく不可もない標準的なホテルや、文句のつけようがない豪華ホテル(ただし値段も立派な)より、ここがちょっと抜けてるとか日本人的感覚とは違ってるとかいうほうが、見所があっておもしろいと思います。
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by koharu65 | 2010-06-03 22:29 | 中国旅行記