過去を振り返れば羞恥心に苛まれ、未来を想像すれば不安に襲われる。ただ道を踏み外さないように、足元だけを見つめて一歩一歩進むのが精一杯。だからせめて足跡を残そう。


by koharu65

<   2011年 12月 ( 11 )   > この月の画像一覧

 桜橋を渡って、向島に入る。地図も持たずに歩くが、目標はなにせ世界一の高さのタワー、見失うことはない。世界一のタワーを目当てに、ビルや住宅の間を縫って、てくてく歩く。お昼をとっくに過ぎて、お腹がぺこぺこだけれど、歩く裏通りには食堂を見かけない。

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 ここで、カメラのバッテリーが切れる。いったい何のためにぺこぺこのお腹を抱えてここまで歩いたのか。くらくらと眩暈がした。しかたがない。この目にしっかりと焼き付けようと、とにかく近づくことにした。
 ようやくスカイツリーの根元にたどり着いて、はっと気がつく。
 あ、アイフォンがあるじゃないか!
 はは、気が抜けた。カメラを持たない私は普段アイフォンで写真を撮ってるのにもかかわらず、旅行中はずっと妹に借りたデジカメを使っていたのですっかり忘れていた。思い出してよかった!
 ということで、ここから写真のサイズが変わります。

 同時にこの辺りから、空の色も変わる。朝からずっとどんよりとした曇り空だったのが、突然青空が現れた。すごい!日頃の行いの賜物かな?
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 ここでようやく昼食にありつく。お寿司屋さんに入った。ちらし寿司980円、という看板に引かれて。昼時をとっくに過ぎた時間で、店の主人が表の看板の横で所在なさそうに通りを眺めていた。いいですか?と声を掛けると、らっしゃい、どうぞ、と戸を開けてくれた。
 客は私一人。とにかくお腹が空いていたので、座敷で、出てきたちらしと味噌汁にぱくついていると、背後でがらがらっと戸を開ける音がした。こんにちは~、と子どもの声。店の奥から主人の奥さんが出てきて、あら、○○ちゃん、おかえり。昨日来るかと思って待ってたのに、と言う。さあ、座って、座って。小学校4,5年生くらいの女の子がランドセルを下ろしてカウンターに座る。どうやら孫らしい。座ってすぐにカウンターで宿題を始めた。おばあちゃんが孫に皿を差し出し、リンゴを剥いたよ、食べなさい、と言っていた。
 その後、年配の夫婦が一組入って来て、私と同じようにちらし寿司を注文した。夫婦がちらしを食べ始めた頃、私は食事を終え、店を後にした。
 なんかよかったです。のんびりしてて。

 表に出たら、空は再びうす曇に。さっきの青空はいったいどこに?
 真ん中あたりの写真だけ青空なのは、というわけなのです。決して別の日に撮った写真を差し挟んだんじゃないのですよ。不思議ですね。
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 東京スカイツリーに付随して、その周りにいろんな施設ができるらしい。根元ではその工事も盛んに行われていた。
 
 実を言うと、テレビで盛んにスカイツリーの話題が流れていたときは、なんだそんなもの、何をありがたがるもんか、と思っていた(じゃあ、なぜ見に来ようと思ったんだと聞かれると答えに窮するのだけれども)。でもこうして実際に訪れてみると、やっぱり百聞は一見に如かず、なかなかたいしたもんだな、と思った。
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by koharu65 | 2011-12-19 23:20 | 国内旅行
 水上バスを降りた後、対岸のスカイツリーを右手に見ながら、隅田川沿いの小道を上流に向かって歩く。左側には隅田公園が細長く続いているので、車の喧騒も聞こえず、静かでのどかな散歩道となっています。
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東武鉄橋とスカイツリー

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現在地

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言問橋とスカイツリー

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現在地

 言問橋を渡ってまっすぐ行けば、そのままスカイツリーにたどり着くのだけれど、もうひとつ先の桜橋という橋が歩行者専用の橋だと何かに書いてあったので、どんな橋だろうとちょっと興味が湧いて、もう少し回り道してみようと思う。
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鳩とスカイツリー

 もう少し近くで撮りたいと思って、鳩を追いかける。
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逃げる鳩。

 さらに追いかける。
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さらに逃げる。

あきらめる。
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桜橋とスカイツリー

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渡った後、振り返って見た桜橋

 桜橋は変わった形をしていました。c0173113_2210559.jpg
 こんなふうにX字形(ウィキペディアより転載)。

 次は、向島の住宅の間に見えるスカイツリーと、真下から見上げたスカイツリーです。

つづく。


 
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by koharu65 | 2011-12-16 22:16 | 国内旅行
 せっかくなので一日東京見物でもして、夕方の新幹線に乗ろうと思う。どこへ行こうかと思案して、世間で話題の東京スカイツリーを見てみようかと思った。
 直接、最寄駅の業平駅へ行くより、遠くからだんだん近づいてみよう。
 
 ということで、浅草に着いた。吾妻橋の赤い欄干の向こう、金色のビル(アサヒビール社屋)の横にスカイツリーが見える。
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 ここから水上バスが出ているので、日の出桟橋まで往復、遊覧することにした。実をいうと、私は、船がスカイツリーの真横を通るものと勘違いしていた。
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水上バスのデッキ

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 ところが、船はスカイツリーから遠ざかっていく。
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 どんどん小さくなるスカイツリー。
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 でもね、ついでに東京タワーも見ることができたんですよ。
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浜離宮の桟橋近くから見た東京タワー

 浜離宮を経て、日の出桟橋に到着。私は往復券を買ったので、下船せず乗ったままでUターン。遠くにレインボーブリッジやお台場が見える。
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これはズームで撮ったもの。本当はもっと遠くに小さく見えます。
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 吾妻橋に戻る。
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私が乗った水上バス

 他にも水上バスからの景色をたくさん写真に撮ったけれど、今回のテーマはスカイツリーということで、だいぶん省略。

 次は、隅田川沿いの対岸を歩きながら眺めたスカイツリーを紹介します。


つづく。


 
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by koharu65 | 2011-12-15 21:39 | 国内旅行

マイステイズイン蒲田

 北京からの帰り、飛行機が東京(羽田)に着く時間が遅く、最終の新幹線に間に合わないので、東京に一泊しました。
 帰りの飛行機で隣の席に乗り合わせた方が年配の女性で、北京からウルムチやカシュガルを回りタクラマカン砂漠を車で縦断する11日間のツアーに参加した帰りとのこと。グループの中にはこの後、東京から深夜の高速バスに乗って名古屋まで帰る人もいると言う。私も静岡まで帰るのに深夜バスがあることは知っていたけれど、疲れているだろうからとてもバスには乗れないと事前にホテルを予約した。隣合わせになった人の参加したツアーのお客さんは皆、私よりずっと年上の方ばかり。すごいパワーだなぁと思う。
 
 泊まったのは“マイステイズイン蒲田”というビジネスホテル。JR京浜東北線の蒲田駅から徒歩5分。羽田から蒲田駅までバスが出ているので便利だと思い、ここに決めました。

 清潔で必要なものは何でもそろっているけれど、とにかく狭い!よくぞ、この狭い中にこれだけの設備をぎゅうっと詰め込んだものだと、感心することしきり。
 ベッドは身長160cmの私でぴったりの大きさなので、背の高い人は足がはみ出るかも。
 ユニットバスを部屋の中にぽんとはめ込んだような構造で、ドアを開けたままシャワーを使うと部屋の中に湯気が充満して火災報知器が鳴るので、ドアを閉めてシャワーをお使いください、という注意書きがありました。お風呂を使った後、浴室のドアを開けてベッドに戻ると、もわもわとした湯気が室内に流れ込み、湿気がこもっちゃうんじゃないかな、と心配しましたが、空調がしっかりしているのでしょう、すぐに湿気も抜けていきました。

 最初はその狭さにびっくりしましたが、慣れるとそれなりに落ち着きます。デスクの前の窓が大きく、私の泊まったのは一番上の階だったので、見晴らしがよく、それが狭さを大きくカバーする役目を果たしていました。
 隅々までそつのない造りと清潔さはさすが日本のビジネスホテル、という感じです。

 ネットで一週間前までに申し込んだので、割引つきで一泊5900円なり。

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by koharu65 | 2011-12-13 22:59 | 国内旅行

皆既月食と浦島太郎

 昨日12月10日は皆既月食だった。始めあまり興味がなかったのだが、母がカメラを持って何度も玄関を出たり入ったりするので、つられて表に出てみた。夕方家に帰ってきたときはまん丸お月さまだったのに、夜10時過ぎに外へでて見上げると、お月さまが半分くらいになっていた。
 その時思ったのは、なんだ、結局、これは見慣れた半月じゃないか。ある日ふと夜空を見上げて、ああ、今夜は半月だ、と気づくのと同じで、特別めずらしくもなんともないんだけど…、と母に言うと、ひと月かけて起こることが数時間の間に起こるってことがめずらしいんじゃない、と反論された。
 月は普段から満ち欠けするけど、太陽はいつでもまん丸全開で輝いているので、だから皆既日食の方がとりわけ神秘的なんだ、と思った。
 しかし、その後、何度か表に出て月を見上げ、欠けていく様子を目の当たりにするに従って、なんだか不思議な気分になってきた。

 11年ぶりだって。
 11年前っていうと、私たち、何をしてただろうね?
 11年前も見たかな?
 見たような気もするけど、気のせいかも。
 うーん、よく覚えてない。

 などと、寒さに震えながら話してるうちに、空の月は少しずつ細くなっていく。十年前って、私は何をやってただろう?と考えたら、ふっと、あれ?10年前って何歳?今、自分は幾つ?と自分の年がわからなくなって、母に、
「私って何歳だっけ?」
と問いかけ、何言ってるの?馬鹿じゃないの、この子?と変な顔をされた。
 自分でもボケてしまったのかと、ちょっとびっくりした。その時、私は、10年前と今とが全く同じ地点にあって、時がちっとも流れていないような不思議な感覚に襲われたのだ。
 これはいったいどういう心理作用だろうと、考えてみる。

 本当はひと月の間で起こる月の満ちかけが、この数時間に凝縮されて、刻一刻に起こっているのだというそのイメージが、ひと月という時間の流れもこの刻一刻の時間の流れも、実はまったく同じ長さなのではないかという錯覚に、私を陥れた。そして10年前にも同じ現象が起きていて、こうやって同じように月の満ち欠けを眺めただろうかと想像することによって、10年前の時が今の時空に引き寄せられて重なった。それが、私はいくつだろう?時は流れているのだろうか?という問いに繋がったのだ。
 本当は時の流れというのは、存在しないのではないか。時は、人が「時」という概念を創り出すことによって流れ始めるものであって、もしその概念をすっかり取り去るならば「時」は止まり「永遠」が姿を現す。

 そんなふうに考えていたら、浦島太郎のお話が頭に浮かんだ。
 昔から、浦島太郎のお話って不思議だ、と思っていた。ただ珍しく面白く月日のたつのも夢のうち、と思っていたら、あっという間におじいさんになってしまうなんて、これはいったい何を言いたいの?亀を助けるといういい事をした浦島太郎が、こんなひどい仕打ちを受けるなんて、なんて理不尽なんだ。
 しかし、皆既月食を見ていたときに感じた不思議な感覚を浦島太郎のお話に重ねてみると、浦島太郎は竜宮城という「時」のない楽園で「永遠」という幸福を味わっていたのではないか、ということに思い至った。
浦島太郎という昔話は実は、時の流れに逆らえない肉体を持つ人間が、時を止め永遠を手に入れることを可能とする秘密の術を諭したものなのかもしれない。
 その術とは、つまり、玉手箱を開けないことなのだ。
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by koharu65 | 2011-12-12 22:11 | 雑感
 子どもの頃、初めてチョコパイを食べたとき、そのおいしさに衝撃を受けました。ふんわりとしたケーキの味わいといい、それから大きさといい、当時スーパーで売られていた他のスナック菓子とは一線を画す革命的なお菓子でした。
 しかしそれから大人になって次第にお菓子にも興味がなくなり、チョコパイを食べる機会も長いことありませんでした。
 それが、数ヶ月前、甥っ子が買ってきたチョコパイがテーブルの上にあったので、あ、チョコパイだ!とさっそくぱくついたところ…、一口食べて、えっ、違う…。中の白いところが私の嫌いなマシュマロだ!さては昨今の不景気で材料やなにやら経費もかさむので、安くできるレシピに変えたのだな。ショック…。
 …と思っていたら、今日、妹と北朝鮮の労働者に配られるチョコパイの話をしていて、気がつきました。私が子どもの頃好きだったのは、チョコパイではなく、森永のエンゼルパイだったのだと。
 目からうろこの事実でした。
 森永のエンゼルパイはまだ売っているのかな?


[追記2012.JAN.,20]

 その後、いろいろ見聞きしたところによると、事実は全然違っていた事が判明しました。
 エンゼルパイの中身はマシュマロです(今売っているものについて。エンゼルパイの中身が昔からマシュマロだったかどうかは未確認)。チョコパイには小さいサイズと大きいサイズがあって、小さいサイズはマシュマロ、大きいサイズがクリームです。
 最近、チョコパイの大きいサイズ(つまり私がおいしいと思ったクリームの方)を食べましたが、昔感じたおいしさのほどではなかった。記憶が美化されたのか、それとも子どもの頃はおいしいものを食べつけていなかったせいなのか。

 
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by koharu65 | 2011-12-11 20:41 | 雑感
 昨日のお土産の話でいちおう北京旅行記もおしまいのつもりだったのが、思い出してしまった。旅行記の始めのほうで、北京広播大厦酒店の紹介をしたとき、壁が薄くて隣の声がよく聞こえる、これについては後日エピソードを紹介する、などと書いたことを。
 時間が経ってみると、たいしたエピソードでもないと書く気も失せてしまったのだが、書くと書いたことを全く無視して書かないのもなんだか気持ちが悪いので、いちおう簡単に書いておきます。
 本当にたいしたことのない話なのだけれど。
 
 残すところ二晩となった夜。隣の部屋から大音量の音楽が。その前も時々話し声が聞こえたり、テレビの音が聞こえたり、壁が薄いんだなと思って、私もテレビのボリュームに気をつけてた。でも皆夜が早いのか、眠りにつく頃には周囲はしんと静まりかえっていて、その日までは壁の薄いことも特に気にもならず、快適に過ごしていた。
 なのにその晩はいつまでたっても音楽が鳴り止まない。次の日も。とうとう耐え切れなくなって、夜中の1時過ぎにフロントへ。
 フロントのカウンターの奥から話し声が聞こえるのに、人の姿が見えない。奥の部屋にいるのかなぁ?と思いつつ、まだカウンター前に着かないうちに、ちょっと遠くから「ふーうーゆえん(服務員)!」と呼んだ。すると、「ぎゃー!!!!」という男の悲鳴がロビーじゅうに響きわたった。カウンターの向こうに隠れるようにして座っていた若い男性従業員が、同じ夜勤の女性と夢中になっておしゃべりしているところに私が突然声を掛けたものだから、びっくりして大きな叫び声をあげたのだ。
 彼は、あー、びっくりした、と胸を押さえ、恐縮して何度も何度も、すみません、と謝った。
 その後、私が事情を説明すると、フロアの警備員に連絡を取ってくれて、その部屋に注意するよう指示を出し、それから一緒にエレベーターを上がり部屋まで送ってくれた。
 私は彼の叫び声を聞いた時点でまずあっけにとられ、事情がわかった後は男性のあんな恐怖の叫び声を聞くのはめずらしいと、おもしろくて、笑いだしたくなるし、すっかり毒気が抜けてしまった。しかも夜勤の若いふたりが心から気遣ってくれている様子がよくわかり、温かな気持ちになって、いらいらした気分などどこかへ行ってしまったようだった。

 隣の部屋がそんなふうでなかったら、あんなおもしろい悲鳴を聞くことも、温かな気遣いを受けることもなかったので、結局は貴重な体験をしてなんだか得をした気分だったのでした。
 災い転じて福となす。
 とっぴんぱらりのぷ。
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by koharu65 | 2011-12-10 23:23 | 中国旅行記
 王府井の土産物屋で美少女コンパクトを買いました。
 蓋の上に少女の絵柄がはめ込まれていて、コンパクトを傾けると角度によって、少女が目を開いたり閉じたりします。唇の端も少し上下して表情が変わる。もう可愛くて可愛くて、ひとめぼれ。
 姪っ子たちにと、買いました。実は旅行や何かで3人の姪っ子にプレゼントをあげるたびに、毎回どの絵柄や色がよいか取り合いになるので、本当は全部同じ絵柄を買ってくるのがよいのです。でも、選んでいるときは、そんなことすっかり忘れてた。いろんな女の子がよりどりみどり、この子が可愛い、あ、この子も…、と選ぶのがすごく楽しかった。
 作りはあんまり精巧じゃないので、大人の女性へのお土産としては、ちょっとふさわしくないかも。なにせひとつ10元(120円)だから。

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 傾けると絵柄が変わるタイプのお土産は、帰りに北京の空港でも売られているのを見ました。コースターやマグネットなどに使われてて、絵柄も全然違うふたつの絵が現れたり、すごく凝っていて作りもよいものでした。(値段も高い)
 でもデザインとしては、これらの少女たちの可愛らしさが逸脱!


 
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by koharu65 | 2011-12-08 22:04 | 中国旅行記
 昨日、朝起きたら左肩の筋が痛くて首や肩をひねることができない。まっすぐ前を向いてキーボードを打つことはできるけれど、肩には常に鈍い痛みが貼りついている。ある一定の方向に体を動かそうとすると強い痛みが走るので、こわごわと体を動かす。そんなふうに動きが制約されると、体全体がぎくしゃくとして、休まりません。
 まあ、たぶん寝違えなので、シップを貼って2,3日も待てば治るでしょう。

 とりあえず、一昨日のつづきだけは書きます。

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 さて、昨日のつづき。タクシーの話というよりも、タクシーを降りるときに出合ったエピソードをふたつ、紹介します。

 ひとつ目は王府井の入り口でタクシーを降りようとしたときのこと。
 タクシーが目的地の王府井の入り口で停車すると、それを見た若い女の子が次に乗ろうとすかさず駆け寄ってきた。そして、私たちが降りようとするのを待ちかねるようにして、ドアを開けたままレシートの発行を待つ私たち越しに、ドライバーに何か話しかけた。
 するとドライバーは、手を横に振りながら、
 「だめだめ、ここは降車専用なんだ。タクシーを拾えない場所なんだよ。」
と言う。
 「あ、そうなんだ。
 タクシーを“拾う”(中国語で“打車”)んじゃなくて、ここでちょっと私を車に乗せてくれればいいんだけど(“譲我上車”)。だめ?」
 「馬鹿馬鹿しい(“費話”)!同じことだろ。」
ドライバーはあきれたように言った。
 女の子は冗談でもなんでもなく、まるっきり真顔でこれを言ったのだ。真剣にこんなボケたことを言うなんて、今思い出しても面白くてくすくすと笑ってしまう。ドライバーのツッコミもテンポよく、ちょっとしたコントみたいだった。

 ふたつ目も、タクシーを降りるときのこと。
 私たちの乗ったタクシーが道端に車を寄せると、すぐに若い20代くらいの男性が駆け寄ってきた。それとほとんど同時に、横から子どもを抱っこした母親が現れて、ドアの前に立った。
 若者は、その母親に向かって、
 「このタクシー、僕が呼んだんだ。」
と言う。
 母親は怪訝な顔をした。私も、え?どういうこと?って不思議に思った。
 彼は続けて、
 「さっき、このタクシーが向こうからぐるっと回ってくるときに、僕が呼び寄せたんだ。」
と、言う。
私は、全然理屈に合わないことを言うなぁ、と思ったのだけれど、子どもを抱えた母親は、
 「そうなの?わかったわ。」
と引き下がる気配を見せた。
 そのやりとりを耳にしながら、夫が先に、私は後から車を降りた。ドアの前に立つ若者に向かって、夫が、
 「小さな子どもがいるんだから、ゆずってあげたら?」
と言うと、若者は気まずそうな顔をしながら、
 「あ、…、ああ、どうぞ。」
と素直に譲った。
母親は、
 「ありがとうございます。」
とすごくうれしそうだった。

 始めからちょっとずるいというか、理屈をつけて自分を優先しようとした彼が、たった一言で、決まりの悪そうな顔をして譲った。それは、本当は子どもを持つ母親に譲るのが正しいあり方だよね、という共通の認識が失われずにちゃんとあるからこそだと思う。
 言われなくてもそうするほうがもっといいんじゃないの、ってことかもしれないけれど、でも、私はその若者の中に、ずるさやわがままと素直さとが同時にあって、でも結局は、柔らかで素直な心が表に出たというそのごく普通の人間の生活の光景に、心を打たれたのでした。
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by koharu65 | 2011-12-05 21:55 | 中国旅行記

北京のタクシー

 今回、北京市内の観光地をめぐるのに、どこへ行くにもタクシーを使った。タクシーを使わないと効率よく動くことができない。料金も比較的安く設定されているので、気軽に利用することができる。
 でも一方で、それは夫や義妹と一緒だからであって、一人だとこんなに上手くタクシーを使いこなせるかどうか自信がない。

 ガソリン代が高騰しているので、初乗り(3キロ)10元(120円)以上の距離の場合はメーターの金額に燃料チャージ代として2元、プラスされる。
 ごく一部だけれども、タクシーの乗降が禁じられている場所がある。
 必ず混む場所があるので、距離的には多少遠回りになっても、ドライバーはその道を避けたい。
 地元の人間ならいろんなルールや事情をよく知っているので、通る道にしても、上手くドライバーを指示したり、或いはドライバーの求めに応じて臨機応変に対応することができるのだが、もし私が一人で乗っていたら判断のしようがないので、どうしてもドライバー任せになってしまうだろう。
 それに一般的にいって、あまり上品なドライバーはいない。夫も義妹もそういうドライバーに対する話の仕方というのをそれぞれが違うやり方で心得ている。夫の場合はわりと命令調でやるので(もっともこれは日本人から見たら命令調に聞こえるのであって、中国人からすれば普通の言い方なのかもしれない)、私はそういうものの言い方が普通なのかと思っていたら、義妹と二人でタクシーに乗った時、全然やり方が違うのでちょっと驚いた。まずは窓から、すごく丁寧な言い方と物腰でどこそこへ行ってくれるか、とドライバーに頼むように話しかける。(夫はドアを開けて乗り込むのが先だ。私にも乗り込む前に行く先を言うな、と釘を刺す。)ドライバーも丁寧な口調で話しかけられると、悪い気はしないみたいで、わりと丁寧に応じてくれる。
 そして、夫と義妹とも、ドライバーとちょっとした世間話を交わすことが多いんである。
 彼ら同士のざっくばらんな会話は早口すぎるのとなまりがあるのとで、私にはあんまりよく聞き取れない。

 タクシーは台数から言えばたくさんあるようなのだけれど、利用する客もそれ以上に多いので、時間帯によってはなかなかつかまらないことがある。夕方のラッシュ時には、タクシーをつかまえようと、車道に身を乗り出して手を挙げている人が、あちこちにいる。
 タクシーを待って道路に立っていたら、黒のセダンがすっと寄って来たので何かと思ったら白タク(中国語では“黒車”という)の誘いだった。夫でさえ、白タクには絶対に乗らないというので、じゃあ、みんな警戒するんだから、商売として成り立つのかしら?と思っていたら、ある時、声を掛けられた白タクに目の前で乗り込んだ人がいた。しかも20代の若い女性だった。

 そういえば、もう何十年も前、浦安(千葉県)で相乗りの白タクに乗ったことが一度だけある。東京のベッドタウンとして住民が急激に増えているのに、バスやタクシーなどの交通機関の整備が追いつかず、終バスが出たあとの駅の正規のタクシー乗り場は毎夜、長蛇の列になった。その列のそばを柄の悪い男が車のキーをチャラチャラさせながら、低い声で地名を呪文のように唱えていく。どこどこ方面、という感じで。その時私はとっても疲れていて、週末かなにかでいつもにも増して長いタクシー乗り場の列に並ぶことに耐え切れず、初めて白タクに乗った。私も含めて客は3人、相乗りで、料金はひとりいくらと均一。普通に一人でタクシーに乗るのと同じくらいか、ちょっと安めだったと思う。結構良心的ですよね。
 道順からしたら本来私が2番目に降りるはずなのに、なぜか一番最後にひとりだけになって、すごくどきどきした。ドライバーは、間違えた、と言ってちゃんと無事に降ろしてくれたけど。
 その後、同じ駅を利用している知り合いの男性とたまたま白タクの話になって、彼の言ったことには、
「よく利用するけれど、以前、乗った車が片腕のドライバーだったことがある。片腕で、ハンドル離してギアチェンジするんだよ。」
さすがにその時はちょっと怖かったそうだ。


 話が逸れてしまった。北京のタクシーの話がまだあるのだけれど、続きはまた明日。
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by koharu65 | 2011-12-04 00:43 | 中国旅行記