過去を振り返れば羞恥心に苛まれ、未来を想像すれば不安に襲われる。ただ道を踏み外さないように、足元だけを見つめて一歩一歩進むのが精一杯。だからせめて足跡を残そう。


by koharu65

我不想説我是鶏(あたしニワトリよ、と言えなくて)

 愛知県でうずらが鳥インフルエンザに感染したという話題を耳にして、数年前に中国のネットで流行ったある歌を思い出した。
 2005年、中国で鳥インフルエンザが発生し大量の家禽が処分され、人への感染も確認された。その年の年末、“K鈴製作”(携帯の着信メロディーなどを製作しているベンチャー企業)がこの大騒ぎとなった鳥インフルエンザを風刺したFlashつき音楽をネット配信した。これがインターネット上で大ヒットしたのだ。バイキン扱いされ大量処分される鶏たちの苦境を、丸くて黄色いひよこがマイク片手に舌足らずの愛らしい声で歌っている姿がなんともかわいらしくユーモラスで、私も一目で魅了されてしまった。
 ちょうど年末に配信され、最後のひよこのセリフが新年の挨拶となっているのも見事な演出である。
 これによって“K鈴製作”は一躍ネット音楽業界のトップとなった。
 ちなみにこれは替え歌で、原曲は、中国の歌手、楊鈺瑩(ヤンユーイン)の『我不想説(言えなくて)』である。

 最近の鳥インフルエンザの話題をきっかけにこの歌を思い出し久しぶりに動画を見てみたが、やっぱり可愛くてユーモラスで風刺が効いていて大好きだ。最後のセリフのところではひよこと一緒に手を合わせて祈りたくなるような気持ちにさせられる。
 深読みするならば、ひよこを、ある立場の人間――差別され迫害され搾取される状況にある人間に置き換えることもできるんじゃないかとも思った。
 思い立って歌詞を日本語に訳してみたので、とっくに流行遅れではあるのだけれど、動画とともに載せておこうと思う。
 


 
『あたしニワトリよ、と言えなくて』

清潔だとは言いがたい
安全だなんて言えないわ
誤解されても仕方がないの
固く閉ざされた小屋の中、生まれたばかりの卵を数え
殺されるのを待つばかり

食べられることに異存はない
卵だってさしあげる
けど、穢れてるってさげすまれるのはごめんだわ
つらい運命に涙がでちゃうけど
人間の気持ちもわからなくはないのよ

いつもの鶏肉、いつもの卵
いつもと同じ私たちなのに、どうして感染源に?
鳥インフルエンザ、ああ、危険と言われ
鳥に生まれたこの身が恨めしい

パパはとっくに処分され
お兄ちゃんは実験台送り
今どき鳥に生まれたら人よりずっと悲劇だわ
今日を耐え、明日をながらえても
明後日にはきっとお終いでしょうね

いつもの鶏肉、いつもの卵
いつもと同じ私たちなのに、一文の値打ちもなし
いつものように肉を食べ、いつものように食事したい
人にとって鶏は、なくてはならない存在なのよ

いつもの鶏肉、いつもの卵
いつもと同じ私たちなのに、この酉年を越せないなんて
いつものように肉を食べ、いつものように食事したい
人にとって鶏は、なくてはならない存在なのよ

「2005年が過ぎ去りました。
 どうか不幸という不幸が一切、過ぎ去っていってしまいますように…。
 そして、この世のすべての鶏のヒナたち、家鴨のヒナたち、子供たちがみんなみんな、健やかに成長しますように…。
 世界が健康と平和に満ちることを心よりお祈り申し上げます。
 人間にとって鶏は、なくてはならない存在なのです。」

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by koharu65 | 2009-03-10 21:07 | 中国・中国語