過去を振り返れば羞恥心に苛まれ、未来を想像すれば不安に襲われる。ただ道を踏み外さないように、足元だけを見つめて一歩一歩進むのが精一杯。だからせめて足跡を残そう。


by koharu65

少女

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 何にでも興味があって、きらきらと目を輝かせ飛びついていた姪っ子は、個性的なゆえに周りの女の子に自分を合わせることができず浮いてしまうと、母親が嘆いていた。私はそういう性質こそ大事にすべきなのに、と思うのだけれど、友達との関係がすべてである学校生活において仲間外れになるのは、とてもつらいことだということもよくわかる。
 そういう姪っ子が、だんだんと以前ほど、しゃべらなくなり、中学生になったらすっかりおとなしく、しとやかに、でしゃばらなくなったので、彼女の個性は世間並みに矯正されてしまったのかと、少し寂しく思っていた。

 先週の日曜日、久しぶりに彼女と犬と私とで、散歩に出た。
 河原に着き、きらきら光る水を見た途端、彼女は、
「気持ちよさそう。入りたい!靴脱いで、入っていい?」
と私に聞く。
「うーん、タオルとか持ってきてたらよかったんだけど。濡れたら拭くものがないし。」
彼女は、ちょっと黙って考えた後に、言った。
「この石のところに足を乗っけてれば、すぐ乾くと思うよ。」
「うん、そうだね。うん、わかった。いいよ。」
彼女は、さっそく靴と靴下を脱いで、ぱちゃぱちゃと水の中を歩いた。ごつごつした河原の石の上を転ばないよう注意深くゆっくりと渡る彼女の周りを、犬が大喜びで、くるくると行きつ戻りつする。
しばらくして戻ってきた彼女と私は、突堤に腰かけて景色を眺める。
「すごく、気持ちいいね。こういうの大好き。」
と、彼女が静かに言う。
「見て。あの辺、泥だよ。裸足で歩いたら気持ちよさそう。いい?」
「泥かぁ。汚れるよねぇ。まあ、いっか。乾いたら落ちるよね。いいよ。」
 彼女は再び水の中に降り、泥の上を歩きながら、振り返って私を見た。
「おもしろい!気持ちいいよ!」

 彼女の性質はちっとも変ってないのだと、私はうれしくなった。
 彼女の言うとおり、濡れた足は石の上で乾かしたら、何のことなくすぐに乾いた。


*小春日和日記もよろしく。



 
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by koharu65 | 2012-06-09 21:57 | 雑感